今回、「ヘアドネーション」を達成したフリーランスのヨシケンさんにお話を伺いました。
ヘアドネーションとは、病気などで髪を失った子どもたちのために、自分の髪を寄付する活動のこと。
ウィッグを作るには最低でも31cm以上の長さが必要で
髪を伸ばすには年単位の時間がかかります。
ヨシケンさんは、約3年という長い期間をかけて、ヘアドネーションを成し遂げました。
これだけ聞くと、強い意志を持った社会貢献家の姿を想像しますよね。
僕もそう思っていました。
しかし、ヨシケンさんの口から語られたのは、そんなイメージとは少し違う、もっと人間味あふれるユニークなストーリーでした。

継続のコツは「義務感」ではなく「メリット」への転換

3年間、髪を伸ばし続ける。
多くの人が途中で挫折しそうな行為を、ヨシケンさんは
「まったくハードルじゃなかった」
と言い切ります。
「え、どういうこと?」
って思いますよね。
僕からしたら大ハードル。

インタビュー中、ヨシケンさんの「発想の転換」に驚きました。
ヨシケン「私はもともと美容室に行くのが好きじゃなくて。高校生の頃は自分で切っていたくらいです。だから『髪を伸ばさなきゃ』という義務感より、『これでしばらく美容室に行かなくて済む』というメリットの方がはるかに大きかったんです」
なるほどな!と思いましたね。
まず自分で髪を切るってすごい!
僕は野球部だったんで自分で髪を切ってました。
けど、こう↓↓


ヨシケンさんはおそらくこう↓↓


すげぇ。
多くの人が「継続」という苦痛と捉える点を、ヨシケンさんは「手間が省けるメリット」と捉えていた。
もちろん、髪が長くなってからのシャンプーやドライヤーは大変だったそうですが、「継続する」という精神的なハードルは存在しなかったと言います。
つまり、「〇〇しなきゃ」という義務感ではなく
「〇〇することで△△しなくて済む」
というメリットを見つけること。
これが、ヘアドネーションを成し遂げた継続力の正体。
「継続する」って簡単に口にしますが、まぁ大変。
運動を指導する理学療法士をやってますけど
運動方法を覚えるのは簡単。
けど、運動を継続する方が圧倒的に大変。
運動を初めて1年間継続できる人ってどれくらいいるんだろ?
だから、ヨシケンさんの思考って素晴らしいですよね。
きっかけは「お金持ちになる本」?打算は悪か?
そもそも、なぜヨシケンさんが寄付や社会貢献に興味を持ったのか。
その原点もまた、意外なものでした。



「もともと私に、強いボランティア精神があったわけではないんです。ただ、20歳の頃に読んだ『ユダヤ人 大富豪の教え』の影響は大きいですね。『豊かな人は、稼いでから寄付をするのではなく、少ないうちから始めている』という一節に、強く影響を受けました。だから正直に言うと、私の寄付の始まりは、結構打算的なんですよ(笑)」
「打算的」という言葉。
普通なら少しネガティブに聞こえるかもしれません。
でも、本当にそうかな?
純粋な善意や自己犠牲の精神だけが、社会貢献の入り口ではない。
「自分のため」という動機が、結果として誰かのためになる。
むしろ、その方が無理なく、継続しやすいのかもしれない。
ヨシケンさんの話は、そんな新しい視点を僕にくれました。
決断を後押ししたのは「成り行き」と「タイミング」


そうして伸ばし続けた髪を、いよいよ切る時が来ます。
そこにも、ヨシケンさんらしい合理的な判断がありました。
髪を切った理由は2つ。
髪が長くなりすぎてキャラクターの域を超え
「いよいよ“怪しい人”に見えてきたこと(笑)」が一つ。
たしかに、初めてお会いしてときは怪しかった、、、笑
もう一つはご友人だったそうです。



「東京に越して来たばかりの頃は行きつけの美容室がなかったのですが、ちょうどその時、地元の友人が美容師として独立したという知らせが届いたんです。『そろそろ切ろうかな』と思っていたところに降ってきた、まさに願ってもない機会でした」
大きな目標を達成するには、緻密な計画が必要だと思いがち。
僕はやたら紙に書いたり、マインドマップ作り始めたりしますが全然目標が達成できません。
いいとされていることが、全然通用しなかったんですよね。
でも、ヨシケンさんの話を聞いていると、それだけではないと感じます。
「そろそろかな」という気持ちの準備をして、訪れたチャンスを逃さない瞬発力。
こうした「成り行き」と「タイミング」を味方につけることこそが
物事を前に進める一番の推進力になるのかもしれません。
なんでも計画すればいいってもんでもないですね。
なぜ、ヘアドネーションには「31cm」以上の髪が必要なのか?


ヘアドネーションは
「なぜ31cm以上必要なの?」
と疑問に思ったので自分なりに調べてみました。
1.「31cm」はフルウィッグ製作のための世界基準
ヘアドネーションで31cmという長さが求められるのは、主に医療用フルウィッグ(全頭用ウィッグ)を作成するらしい。
31cmという数字は、頭部全体をすっぽり覆うフルウィッグに用いる毛髪の、世界的な基準である「12インチ」をセンチメートルに換算したものです。
ちなみに
1インチ=約2.5cm×12=約31cm
脱毛症やがんの治療などで髪に悩みを持つ子どもたちの多くは、セミロングやロングヘアのフルウィッグを希望しているそうです。
だから、全頭用のフルウィッグを作るための
最低でも31cm以上の髪の毛が必要なんですね。
2.髪の毛を「二つ折り」にする製作工程
ウィッグの製作工程には、寄付された髪の毛を「二つ折り」にして植毛するんです。
31cmの髪の毛を半分に折って植毛すると
ウィッグとして使用できる毛の長さは約15cmになります。
15cm以下になっちゃダメなの?
って思ったんですけど、これにも深い理由が!
もし15cm以下になると、髪が立ち上がってしまい、スタイリングが難しくなります。
このため、31cm未満の髪の毛では、全頭を覆う医療用フルウィッグを作ることができないんです。


頭皮から15cmって言われても意外とイメージつかなかったので参考画像を添付します。
男性ならわかるかもしれませんが
確かに15cm以下だと立ちあがっちゃいそうですね。
3.31cm未満の髪の毛の用途と、より長い髪のニーズ
団体によっては、31cm未満の髪の毛も受け付けている場合がありますが、その用途は異なります。
| 用途 | 理由 |
| 部分ピースや前髪ウィッグ | 20cm程度の長さでも、部分ピースや前髪ウィッグなどの材料になる |
| 評価毛としての活用 | ・ヘアケア剤などの研究開発の評価毛 ・美容師の練習用マネキンの材料など |
ちなみに、31cmの髪の毛だけではショートウィッグの長さとなり、多くが男の子用になる傾向があります。
でも実は、ウィッグを申し込んでいる子どもの約9割が女の子。
慢性的に40cmや50cm以上の長い髪の毛が不足しているのが現状らしい。
もし可能であれば、より長い髪の毛の寄付が歓迎されています。
40cmや50cm以上を目指すとなるとすごい大変です。
| 目標の長さ | 期間の目安 | コメント |
| 30cm | 約2年半 | ヘアドネーションの最低基準(31cm)に近い |
| 40cm | 約3年半 | 背中の真ん中あたりまで伸びる |
| 50cm | 約4〜5年 | 背中〜腰まで届くロングヘア |
平均的な髪の成長速度は1ヶ月に約1cm(=1年で約12cm)です。
ヘアドネーションの凄さを感じます。。。
4.人毛ウィッグと人工毛ウィッグの違い:ヘアドネーションウィッグの魅力
全然知らなかったんですけど、ウィッグって種類があるんです。
主に人毛ウィッグが主流。
あとは人毛と人工毛のミックス毛ウィッグに分類されます。
| 特徴 | ヘアドネーションウィッグ(人毛) | 人工毛ウィッグ(合成繊維) |
| 素材 | 寄付された本物の人毛(ヒューマンヘア) | ポリエステル、アクリル、ポリアミドなどの化学繊維 |
| 見た目の自然さ | 非常に自然で、地毛と見間違えるほど | 注意深く見ると不自然に見える場合がある |
| メンテナンス | より多くの手入れが必要。枝毛ができやすく、定期的なトリートメントやヘアオイルが必須。 | 比較的容易で、手がかからない。 |
| 重さ | ミックス毛や人工毛よりも重くなる傾向がある。 | 軽い。着用していることを感じないほど軽い。 |
| 価格 | 原料(人毛)が希少なため非常に高額になりがち(高額な人毛ウィッグは50万円ほどのものも)。ただし、ヘアドネーションウィッグ(Onewig)は無償で提供される。 | 人毛に比べて安価。 |
| 供給量 | 人毛の供給量が少ないため、全てを人毛で賄うのは非常に難しい。 | 工場で製造されるため、材料さえ確保できれば比較的自由に供給量をコントロールできる。 |
驚いたのは価格!
人毛ウィッグは人の毛であって、さすがに高価。
ものによっては50万円!!
ただし、ヘアドネーションウィッグは無償で提供されているんですね。
困っている子供達の手にぜひ無償で届けてほしい。
まとめ
ヨシケンさんに話を聞く前
ヘアドネーションって何?
って状態でした。
「誰かのために」という立派な動機だけでなく、
「美容室が面倒」
「本に影響された」
といった、すごく人間的なきっかけ。
でも、そのすべてが合わさって、一人の子どもの笑顔に繋がっていく。
僕はなんだか社会貢献のハードルをすごく高く考えてました。
社会貢献のために何ができるだろ?
社会的意義のある目標持たないと!
ただ、ヨシケンさんに話を伺ってなんだか、社会貢献のハードルがぐっと下がった気がします。
SNSを見れば不安なニュースばかりが目につく時代。
でも、ヨシケンさんのような人がいて、その髪を受け取る子どもたちがいる。
マジで素敵な世の中!
僕も何か、自分らしいやり方で始めてみよう。
そう思わせてくれる、素晴らしいお話でした。
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